初対面の彼を見た瞬間、なぜか涙が出た
初めて会った人だった。
名前も知らない。
会ったこともない。
なのに、彼と目が合った瞬間――
なぜか涙が止まらなくなった。
悲しいわけでもない。
怖いわけでもない。
ただ、彼の声を聞くと胸が苦しくなる。
「前に会ったこと、ありますか?」
「たぶん、ないです」
「でも……会ってた気がする」
何度か偶然会ううちに、
二人は同じ場所に惹かれていく。
知らないはずなのに懐かしい神社。
夕暮れの河川敷。
手が触れた瞬間にこぼれる涙。
そして二人とも、
同じことを感じていた。
「初めて会った気がしなかった」
「懐かしかった」
運命なのか。
前にもどこかで出会っていたのか。
それは、最後まで分からない。
でも――
「俺が好きなのは、今の小川遥です」
「前世とか、運命とか、全部勘違いだったら?」
「それでもいいです」
「俺は今、小川さんが好きだから」
もし運命だったとしても。
そうじゃなかったとしても。
今の私は、今のあなたを好きになった。
少し不思議で、少し切ない、
夕暮れから始まる運命の恋のお話です。
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