「港を出るだけで4時間半」旅順艦隊はなぜ自分の港から出られなかったのか【旅順港・閉塞作戦・203高地】
1904年3月22日、旅順港のロシア艦隊が港の外にそろうまでに、4時間半かかりました。「難攻不落の要塞」と呼ばれた旅順港。しかし港の中の艦隊は、日露戦争のほとんどの時間を港の中で過ごしています。港の入口、潮の満ち引き、港を囲む丘を、地形データと当時の史料で読み解きます。艦隊はなぜ、自分の港から自由に出られなかったのか。
凍らない港を求めたロシアが1898年に手に入れた旅順。しかし清が造った港は小さく、入口は東の黄金山と老虎尾半島のあいだに一つだけ。幅はおよそ270メートル、戦艦が通れるのは満潮のときだけでした。南側に二つ目の入口を開く工事は、戦争に間に合いませんでした。
有馬良橘らによる3度の閉塞作戦、サーチライトの中で「丘のくぼみ」を入口と見誤った武州丸。マカロフ提督の出撃と、ペトロパヴロフスクの触雷。そして、海からは港の水面がほとんど見えないのに、陸の203高地からはおよそ7割が見えるという地形の計算。艦隊を守るはずだった地形が、最後に何になったのかを見ていきます。
▼チャプター
0:00 港を出るのに4時間半
0:53 I 凍らない港(1880–1898)
4:01 II 入口は一つ(1900–1904)
7:40 III 入口をふさげ(1904年2月〜5月)
10:44 IV 港の外は罠(1904年3月〜8月)
13:23 V 丘に隠れた艦隊(1904年3月〜12月)
16:02 VI 要塞であり、檻だった
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▼この動画の作り方
地図・断面図・見通し範囲は、宇宙から測った標高データ(AWS Terrain Tiles)をもとに、すべて自分たちで計算して描いています。港の水面の広さ、203高地や海の上から見える水面の割合は、観測点から水面の一点ずつへ線を引き、途中に山がないかを調べた結果です(データの解像度による誤差があります)。入口の幅は標高データでは測れないため、史料の数字を使っています。史料は、イギリス陸海軍の公式戦史(1910年)と、旅順にいたロシア海軍士官セミョーノフの回想録『ラスプラータ』(1909年)を中心に読みました。写真は当時の記録写真です。
▼参考文献・史料
・Official History (Naval and Military) of the Russo-Japanese War, Vol. I(英国 Committee of Imperial Defence 編、HMSO、1910年)
・Vladimir Semenoff, Rasplata: The Reckoning(英訳、1909年)
・ウィキペディア日本語版「旅順港閉塞作戦」「有馬良橘」「旅順攻囲戦」(事実確認に使用)
▼地図・写真・音楽
地形データ:AWS Terrain Tiles(SRTM・GMTED・ETOPO1)
写真:Wikimedia Commons(パブリックドメイン:雑誌『ニーヴァ』1904年、米海軍歴史遺産司令部 NH 101324、Underwood & Underwood ほか)
写真「Port Arthur」立体写真3点:Tekniska museet(スウェーデン国立科学技術博物館), CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
BGM:OpenTracks
「crux」まんぼう二等兵 /「BGM - 117 - Painted Clouds」Sound Of Incense /「Abyssal Keys」MFP【Marron Fields Production】/「Deep Search」MATSU /「The Weight of Courage」MFP【Marron Fields Production】/「星の記憶」のる /「輪郭」もっぴーさうんど
▼チャンネル
地形再審は、日本史の「場所」を、地形と史料で読み解くチャンネルです。なぜ、その場所だったのか。
人と戦い ─ 日本史再審 / @nihonshi-saishin
兵器と技術 ─ 兵器再審 / @heiki-saishin
ご家族に旅順や大連、満洲で暮らした方、海軍で働いた方がいらっしゃれば、聞いた話をぜひコメントで教えてください。
#旅順港 #日露戦争 #地形再審
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