【非常ブレーキでも止まれず追突】雪の線路で約624m手前から…東急東横線 元住吉駅【3D解説】
2014年2月15日の午前0時半ごろ、大雪の中、東急東横線の元住吉駅で、駅に入ってきた列車が、ホームの先で止まっていた前の列車の後ろに衝突しました。川崎市には前日の夕方から大雪警報が出ていて、近くの車両基地の積雪は0時に170mmに達していました。
前の列車はブレーキが効かず、止まる位置を約28m行き過ぎて止まっていました。運輸司令から「直ちに停止せよ」と指示を受けた後続列車の運転士は、時速約79.5kmで非常ブレーキをかけましたが、速度はゆっくりとしか落ちず、約624m先で、時速約35.5kmのまま前の列車にぶつかりました。乗客約140名のうち72名が負傷しました。
運輸安全委員会の報告書は、後続列車の非常ブレーキの動作に異常は認められなかったとしています。それでも止まれなかったのはなぜか。報告書は、ブレーキの部品(制輪子)と車輪の間の摩擦が大きく下がったと考えられるとし、そこに雪・油分・汚れが液体のように混ざって入り込んだことが関与した可能性があると考えられる、としています。
報告書をもとに、電車のブレーキの仕組み、行き過ぎた前の列車、36秒間の非常ブレーキ、衝突後の車両、摩擦が約38.7%落ちた試験、雪はどこから入ったのか、そして事故後に決まった雪の日の速度の規制までを3Dで解説します。
■目次
0:00 はじめに 624m手前の非常ブレーキ
1:04 積雪170ミリの夜
2:36 電車はどう止まるのか
3:59 28メートル行き過ぎた列車
5:48 「直ちに停止せよ」
7:10 36秒間の非常ブレーキ
9:14 4.74メートルのめり込み
10:42 ブレーキは壊れていたのか
11:59 摩擦が38.7%落ちた
13:26 雪はどこから入ったのか
15:29 報告書の結論
16:57 積雪8センチで時速60キロ以下
17:55 まとめ
18:39 おわりに
■この動画のポイント
・前の列車は耐雪ブレーキを入れて手で運転していたが、非常ブレーキを使っても停止位置を約28m過ぎ、A点標識を越えて止まった。A点を越えると、そのままでは動かせない
・運輸司令は、武蔵小杉駅を出たばかりの後続列車に「直ちに停止せよ」と指示した。後続列車の運転士は、11k709m付近・時速約79.5kmで非常ブレーキをかけた
・全車両のブレーキシリンダの圧力は非常ブレーキの標準値を超えていた。報告書は、非常ブレーキの動作に異常は認められなかったとしている
・非常ブレーキをかけ終えてから衝突までの平均の減速度は、毎秒約1.3km/h。設計値(毎秒4.5km/h)の約3割で、必要なブレーキ力が得られなかった
・車輪とレールの間の滑走は直接関与していないと考えられる。乗務員の「滑るような感じ」は体感の口述
・事故列車から外した制輪子のベンチ試験では、付着物を塗ると摩擦係数が0.344から0.211へ、約38.7%下がった
・報告書は、レールの頭まで届く雪、車輪のフランジの油分、清掃されずにたまった制輪子の付着物が、液体のように混ざって供給されたことが関与した可能性があると考えられる、としている
・事故後、同社は積雪の深さ8cm以上か1時間に2cm以上の降雪で時速60km以下などの運転規制と、制輪子の付着物の定期的な除去を決めた
■出典
出典:「鉄道事故調査報告書 RA2015-3-3」(運輸安全委員会)(https://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/r...
(運輸安全委員会「鉄道事故調査報告書 RA2015-3」(2015年5月28日公表)の「Ⅲ 東京急行電鉄株式会社 東横線 元住吉駅構内 列車衝突事故」)
■3Dモデル・素材
・"CCTV Camera" by Smoggybeard(CC BY 4.0)https://sketchfab.com/3d-models/cctv-...
・"Man Woman Walk" by Iko Nia(CC BY 4.0)https://sketchfab.com/3d-models/man-w...
・街灯: Poly Haven「Street Lamp 02」(CC0)
・テクスチャ: Poly Haven「Snow 02」「Concrete Pavement」(CC0)
・地図・空撮・建物と線路の形: 出典:国土地理院ウェブサイト(地理院タイル・全国最新写真(シームレス)、ベクトルタイル)を加工して作成。写真は現在のもので、事故当時とは異なります。建物の高さは模式です
・車両・台車・ブレーキの装置・運転台は、報告書の寸法と図をもとに3Dで組んだ模式です
■注記
・3Dの映像は、報告書の記述・図・数値をもとに作り直した再現で、実際の映像ではありません。形や配置は簡略化しています。車両は社名・ロゴ・車番を省いた無地です
・線路の上の積雪の量は報告書に実測が無く、車両基地の観測値(同様だった可能性があるとされる)をもとにした想定です。雪・油分・付着物が入り込む様子は、報告書の「可能性があると考えられる」をもとにした模式です
・駅の前後が高架であることは地理院の写真と地図によるもので、高さは模式です
・運転台やブレーキの装置、試験台の形は報告書に詳しい記載が無いため、模式です。人物は形だけの人形で表しています
・報告書の「認められる」「推定される」「考えられる」「可能性がある」の区別は、ナレーションでもそのまま使っています
・この動画は責任を問うためのものではなく、報告書と同じく事故の仕組みを知るためのものです。個人の名前は出していません
■音声・BGM
音声: Gemini 3.8 Flash TTS(ja-jp-advisor-3)
BGM: ネオンサイン / くれっぷ
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